熱き心に(1)5年の歳月
たかぎです。こんにちは!
新しくご依頼をいただいたヨミトリの活動報告をお届けします。
梅雨の真っ只中ですが、幸い小雨となったある日、
タカシさんをお訪ねしました。
タカシさんを支援している友人のイッシーが案内してくれて、行く道々イッシーからタカシさんの病状について聞きました。
タカシさんは神経難病による重度の障害で身体の自由を失い、
5年ほど前から発話もできなくなられたとのこと。
在宅で奥様が献身的な介護をされていて、
わずかな表情の変化から
タカシさんの日々の体調を把握し、気持ちを察しておられます。
身体は動かないし声も出せないけれど、
でも絶対わかっている。
奥様の信じる強い気持ち、夫の思いを伝えさせてあげたいという気持ちに、
イッシーが私のことを話してくれて、
ヨミトリをトライさせていただくことになりました。
「今日はね、音楽療法の先生が来られてバイオリンを弾いてくださる日なんです。
一緒にそれを聴いて、それからヨミトリをお願いします」とイッシー。
「わあ、素敵なプログラムですね。生の音は良いですよね~。」
「先生は著名なバイオリニストなんですけど、
音楽療法で、病気の方、障害のある方の心を癒す素晴らしい活動をしておられるんです」
「タカシさんもきっと楽しみにされているのでしょうね」
「はい。タカシさんが楽しめそうなこと、奥様がいろいろ考えられて。
本当に温かい素敵なご家庭なんです」
難病でお体の自由を奪われ、
言葉を発することができなくなって5年。
タカシさんのお気持ちはいかばかりかと
思いをはせながら、タカシさんのお宅にイッシーと向かいました。
「タカシさんのお宅はね、奥様が手仕事がとてもお上手で、素敵な作品がたくさん飾ってあるんですよ」
タカシさんのところへ向かう途中にイッシーが話してくれた通り、お宅には玄関先から可愛い布小物がたくさん! 真っ先にタカシさんにご挨拶に行かなければいけないところなのに、廊下で足が止まり、ついつい見入ってしまいます。
素敵な手作り作品の数々、そして迎えてくださった奥様の優しく明るい笑顔とおしゃれな装い。温かい雰囲気がお家を包んでいました。
初めてヨミトリする方とお会いする時は、
緊張します。
ちゃんとヨミトリできるかな。
その方が「わかっておられない」という想定は
私の中には一切ないので、
ヨミトリできない時は私の技能が足りないから。
これに尽きます。
せっかく書いてくださったのに
通じないとがっかりされるだろうなと思うと
緊張して読み取る私の手に力が入ってしまうので、
お会いする前に一呼吸。
イッシーの「わかっておられますよ」の言葉を胸に
タカシさんとお話ししたいなというワクワク感に集中し、
タカシさんのいらっしゃるお部屋に入りました。
「こんにちは」
(続きます)