初めてケントさんとヨミトリした日(2) 眠っているとは限らない
こんにちは、たかぎ(@goisshoshimasho)です。
「初めてケントさんとヨミトリした日(1)知らせを受けて」の続きです。
お部屋の入口で妻のルミコさんから、今までうとうとしていたと聞いたケントさんですが、「ケントさん、たかぎです」と声をかけると、ケントさんの顔が一瞬にしてくしゃくしゃに。泣き顔のようになられました。
「たいへんでしたね」と続けると、また泣き顔に。そして目を閉じました。
ケントさんはそのまま目を開けません。また眠ってしまわれたのかな。そう一瞬思いましたが、私は美津恵さんの言葉を思い出して、続けて話しかけてみました。
「ケントさん、まぶた重いですか。」
ケントさんがぱっと目を開け、また顔を崩して泣き顔になりました。
「上げるの大変ですよね。今、目が閉じているからといって意識がないとか、眠っているわけではないですよね」と言ったら、また泣き顔に。
小脳出血で倒れ1年半植物状態とみなされ、意識があることがわかってからも意思の疎通は最初困難を極めた美津恵さんとのやり取りが可能になってから、美津恵さんは自らの言葉でいろいろなことを教えてくれていますが、その一つが「目をずっと開けているというのはたいへん。口で「起きている」と言えないけれど、目が閉じたままだからといっても眠っている時ばかりではない」ということでした。
目を開けられない。眠いわけではないのに、目を開けていたいのに、瞼が重くて長く開けていられない。
という状態もあることを美津恵さんが教えてくれて、そして今、それがケントさんの置かれている状況を理解する大きな助けになっていました。
ケントさんは、四肢麻痺で体を動かすことも言葉を発することもできないけれど、ルミコさんと私の会話の途中のすごく良いタイミングで顔をくしゃっとして泣き顔になられるので、私は、ああ、これは全部わかっておられると確信しました。
ケントさんは美津恵さんのように、きっと書ける。
書いていただきたい!
でも、果たして私に読み取れるだろうか。
ケントさんが自分では動かせないその両の腕・手を目の前にして
怯む自分がいました。
そんな私をケントさんはじっと見ています。
その目には強い光がありました。
やってみて!
そう促されているように感じました。
(続きます)
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