熱き心に(3)縦線から力強い〇印
「すごいことですね…」奥様がつぶやかれました。
「要は重力から解放されるピンポイントを見つけるということなので、
ということなのだと、思うので、
そのポイントさえわかれば、どなたでも動きの介助はできる、
はずなのですが、
そのポイントを見つける力の抜き加減がとても難しくて」
もう少しわかりやすく説明できないかな、たかぎさん。
「でしょうね…。」奥様がため息をつかれました。
なにしろ普段は動かない手なので、
その動かせるポイントとか言っても、
初めて見たり説明を聞いた方は、
何が何だかさっぱりというのが本当のところなのです。
でも!
とにかくタカシさんは横線が書けたので、どんどん行きますよー!
「お上手です!タカシさんが線を横に引っ張ったの、しっかりわかりましたよ。では今度は縦の線を書きましょうね。
縦です。こう上から下へ。上から下へ。いいですか。ではお願いします!」
上から下へ。
上から下へ。
すっと線が下りました。
「そうです。そうそう。縦の線もOKですね! では、ここから本番です。イエス・ノーの質問への答えに、丸とバツを使いたいんです。それがわかればいろいろお尋ねして答えていただけますからね。
丸はね、こうして下から時計回りに来るっと1回。もう一度一緒に書きますね。下から、時計回りに丸く…そうそう」
私はだんだん力を抜いて行きます。もう〇の後半はタカシさんが書いていることがしっかりわかりました。
「では、タカシさんに〇を書いていただきますよ。〇です。はい、お願いします!」
〇
書けました!
それもものすごく力強い〇!
見ていたイッシーも言ってくれました。
「わかりました!」
タカシさん、すごいです!
(続きます)